会長の時間06 ビール市場の変化から見る多様性の時代
日田ロータリークラブ会長 松本裕二
この10月、長年続いていたビール類の税額格差が解消され、350ml缶あたり54.25円に統一されます。
(現在 )ビール 63.35円 発泡酒 46.99円 第三のビール 46.99円
これまでは、同じビール風味の飲み物でありながら、「ビール」「発泡酒」「第三のビール」と、原材料や醸造方法の違いで税額が細かく区分されていました。
しかし、今回の改正によって、これまで高税率だった「ビール」は減税、逆に低税率で人気を集めていた「発泡酒」や「第三のビール」は増税となり、価格の「不均衡」が是正されます。
- ビール: 一番搾り、サッポロ黒ラベル、ドライ
- 麦芽比率が50%以上。
- 発泡酒: キリン淡麗糖質オフ
- 麦芽比率が50%未満(またはビールで認められない副原料を使用)。
- 第3のビール(新ジャンル): 本麒麟、金麦、クリアアサヒ
- 麦や麦芽は使わない。麦芽の代わりにエンドウ豆やトウモロコシのタンパク質を使ったり、発泡酒に麦由来のスピリッツを混ぜて作られます。
国がこの改正を行った最大の狙いは、「酒税構造の簡素化」と「競争条件の公平化」です。これまでの複雑な税区分は、メーカーが税負担を逃れるために「税率が低いカテゴリーに収まる商品」を開発するという、いわば「税制を意識した商品開発」を促してしまっていました。今回の改正は、そうした税制主導の開発を排し、純粋な商品力で勝負させる環境を作るというメッセージが感じられます。主要4社は「第三のビール」の麦芽使用率を引き上げ、ビールというカテゴリーへ格上げすることで、増税による価格上昇を最小限に抑え、シェアを守る戦略をとっています。一方で、消費者の目はより厳しくなっています。「とりあえずビール」という言葉が示すような、皆で同じものを楽しむ時代から、個々人が納得して選ぶ時代へ。アルコール度数や健康、味へのこだわりなど、嗜好が非常に細分化しています。
この「税制の簡素化」と「消費の多様化」という対照的な流れは、私たちロータリーにも多くの示唆を与えてくれます。
組織として守るべき「芯(ルール)」はありつつも、時代の変化に応じて柔軟に形を変えていくこと。税制が変わっても生き残るための戦略を練るメーカーのように、私たちもまた、時代のニーズを捉え、変革を恐れない姿勢が求められているのではないでしょうか。
10月からの新しい酒税の下で、店頭の価格がどう変わり、人々がどう反応するのか。一消費者の立場として市場の変化を注視していきたいと思います。
ご清聴ありがとうございました。