会長の時間

会長の時間16

2025年12月10日

「中小企業の会計のDX化 〜税理士として見える未来〜」

日田ロータリークラブ会長 小ヶ内聡行

 

皆さん、こんにちは。
本日は、私が税理士として日々の業務で強く感じているテーマ、
「中小企業の会計のDX化」についてお話しします。
まずDX化とはどういう意味なのかということをIT化と比較して言うと
IT化(デジタル化)との違い
IT化(デジタル化)とは、紙の書類をデータ化するなど、既存のやり方を「効率化」するということで、
DX化というとその効率化された情報を基に、ビジネスの仕組みや提供価値そのものを「変革」するということなのです。
まず、それを前提にお話をいたします。。

1. 会計の世界に起きている“大きな地殻変動”

ここ数年、会計業界はかつてないスピードで変化しています。
背景にあるのは 人手不足、IT投資の拡大、そしてクラウド化 です。

特に中小企業では、経理担当者が一人というケースも多く、
「入力作業に追われ、経営判断に必要な数字が出てこない」
という声を、私は現場で何度も耳にしてきました。

DX化とは単なる“パソコン化”ではなく、
「会計のやり方そのものを変革し、経営に活かす仕組みに変える」ことを意味します。

2. DX化の第一歩は“入力をやめる”という発想

中小企業の会計DXで重要なのは、
「人の手で入力する量を限りなくゼロに近づける」ことです。

・銀行データやクレジットカードの自動連携
・領収書のスキャンやスマホ撮影による読取
・請求書の電子化、インボイス制度に対応したデジタル管理
・給与ソフトとのAPI連携

これらはすでに実用段階にあり、導入した企業では
経理作業が3分の1以下になった例も珍しくありません。

現場の“作業”が減ることで、ようやく経営者は
数字をもとに前を見る時間が生まれます。

3. DX化がもたらす3つの大きな効果

① 正確性の向上

人の手が減ることで誤入力が激減します。
結果として、月次の締めが早くなり、経営判断のスピードも上がります。

② コストの削減

経理人材が採用しづらい時代において、
年数百時間分の工数削減は、企業にとって非常に大きな効果です。

③ 経営の見える化

クラウド会計では、リアルタイムで売上・利益・資金繰りが把握できます。
私自身、顧問先に数字を説明するときに、
「経営者の意思決定が明らかに変わった」と感じることが多くなりました。

4. 税理士として最も伝えたいこと

DX化は「ツール導入」が目的ではありません。
大切なのは、経営者の意思決定を強くすることです。

私はこれまで、紙とハンコ文化の中で頑張ってきた中小企業の姿を
たくさん見てきました。
しかし、これからの時代、アナログのままでは銀行融資、補助金、採用など、
あらゆる面で不利になります。

だからこそ、
「会計は経営のナビゲーションシステムであるべきだ」
という想いで、私は顧問先のDX化を支援しています。

5. 最後に — DX化は“未来への投資”

中小企業がDX化に踏み出すのは簡単ではありません。
しかし、導入した企業の多くが口を揃えて言うのは、
「もっと早くやればよかった」ということ。

ロータリーの理念にもあるように、
私たちは地域社会の発展に寄与する役割を担っています。
会計のDX化を通して、中小企業がもっと強く、しなやかになることは
地域全体の力を底上げすることにつながります。

私自身、税理士として、そしてロータリアンとして、
これからも中小企業の未来づくりに貢献していきたいと思います。

ご静聴ありがとうございました。