会長の時間11
日田ロータリークラブ会長 小ヶ内聡行
「社長の経営計画について」
皆さん、こんにちは。
今日は「社長の経営計画」についてお話ししたいと思います。
私は税理士として、これまで多くの会社の経営に関わってきました。経営がうまくいっている会社、伸び悩む会社、倒産してしまう会社──その違いを決定づけるものは何か。
それは「経営計画があるかどうか」です。
- 経営計画は“羅針盤”
経営計画とは、会社の未来に向けた「地図」であり「羅針盤」です。
目的地を決めずに船を出す船長はいません。会社も同じで、「どこへ向かうのか」「どう進むのか」を明確にすることが、社長の最も大切な仕事です。
私は経営計画を立てる社長に、必ずこう尋ねます。
「あなたの会社は、3年後、5年後、どんな姿になっていたいですか?」
利益の数字も大切ですが、それ以上に大事なのは、会社の“存在意義”と“社員の幸せ”をどう実現していくかという方向性です。
- 経営計画は社員との約束
多くの中小企業では、社長の頭の中には明確なビジョンがあっても、それが社員に伝わっていません。
社員は日々、目の前の仕事に追われて、「自分の働きが会社の未来にどうつながるのか」が見えにくい。
だからこそ、経営計画は「社長の想いを見える化する」ものです。
社員にとっては、それが働く意味を感じる「指針」になります。
つまり、経営計画とは、社長と社員との約束でもあるのです。
- 計画は“紙に書く”ことで力を持つ
不思議なことですが、頭の中にあるうちはただの夢でも、紙に書いた瞬間、それは“計画”に変わります。
数値や行動目標を明記し、期日を決めることで、人は動き始める。
「いつまでに何をやるのか」を具体的にすることで、経営は現実のものになります。
私は、毎年経営計画書を作り続けている社長の会社が、10年後どうなっているかを見てきました。
間違いなく、強い会社になっています。
なぜなら、計画を立てることで、社長自身が常に“考える習慣”を持つからです。
- 社長の決意が、社員の姿勢を変える
経営計画を作る過程で一番大切なのは、数字ではありません。
「社長の決意」です。
社長が本気で未来を描き、社員に語りかける。
「この会社をこういう方向に進めたい。みんなの力を貸してほしい。」
その一言で、社員の目の色が変わります。
社員は“計画書”ではなく、“社長の情熱”についていくのです。
- ロータリーの理念との共通点
ロータリーの理念もまた、「よりよい社会をつくるための計画」だと思います。
「超我の奉仕」「四つのテスト」「職業奉仕」──
これらは、私たちロータリアンがどう生き、どう行動すべきかという「人生の経営計画書」です。
会社の経営も、ロータリーの活動も、根っこは同じ。
人を思い、未来を信じ、地道に努力を続ける。
その積み重ねが、地域を、そして社会を良くしていくのです。
- おわりに ― 計画を立てる勇気
最後に、私が好きな言葉を紹介します。
「計画なき行動は夢であり、行動なき計画は妄想である。」
経営計画は、社長の夢を現実に変えるための第一歩です。
そして、社員・家族・地域に対する、社長の責任の証でもあります。
どうか皆さんも、自分自身の“人生の経営計画”を考える機会にしていただければと思います。
ご清聴、ありがとうございました。