会長の時間02
「キャッシュ・フロー経営 ― 黒字倒産を防ぐ“お金の見える化”」
日田ロータリークラブ会長 小ヶ内聡行
皆さま、こんにちは。昨今の経営の情勢は、COST高、人手不足、AIの普及とか経営の質が問われることが多くなったと考えます。
そこで本日は、経営に関するテーマとして「キャッシュ・フロー経営」について、私自身の経験や日頃の考えも交えながらお話ししたいと思います。
経営者であれば誰もが意識している「利益」。
しかし、実際には「利益が出ているのにお金が足りない」「黒字なのに倒産してしまった」という話を聞いたことがある方も多いと思います。
その原因こそが、「キャッシュ・フロー」、つまりお金の流れを見落としていることです。
- 利益とキャッシュは違う
例えば、ある会社が100万円の売上をあげて、30万円の利益が出たとしましょう。帳簿上は黒字です。
しかし、この売上が掛け取引、つまり「まだ回収できていない」ものであれば、実際の入金は翌月か、もっと先。一方で、仕入れや人件費、家賃、税金の支払いは待ってくれません。このギャップが続くと、会社の通帳にはお金が残らず、“黒字倒産”という現実が起こるのです。
- キャッシュ・フローを見る視点とは?
キャッシュ・フローとは、「お金の出入り」そのものです。
日々の経営では、以下の3つの視点で見ることが大切です。
- 営業キャッシュフロー:本業の商売でどれだけ現金を稼いでいるか
- 投資キャッシュフロー:設備投資など将来のために使ったお金
- 財務キャッシュフロー:借入や返済、配当などの資金の動き
つまり、「売上」や「利益」だけでなく、お金が“いつ、どこから、いくら入り”、そして“いつ、どこに、いくら出ていくのか”を可視化することが、健全な経営には欠かせません。
- キャッシュ・フロー経営がもたらす安心
私がキャッシュ・フローの重要性を痛感したのは、ある取引先のことで、もう数十年前の話なのですが、その会社には売上の4割近くを占めていた取引先があり、しかも掛け取引。常にこの取引先だけに頼っていては、いけないので、幅広い取引先と取引するようにと話をしてきたのですが、なかなかほかの優良企業を見つけることができずにいたら、その取引先が突然の回収不能で、帳簿上は黒字だったはずが、実際には数ヶ月で資金が底をつきそうになったのです。
そこから、私は「利益」ではなく、「現金残高と今後の出入り」を徹底的に管理するようにしました。すると、少々売上が下がっても、「何とかなる」と冷静に判断できるようになった。経営の“見える化”が、安心につながるという実感を持ちました。
- 中小企業にこそキャッシュ・フロー思考を
特に中小企業は、銀行の支援や資金調達の選択肢が限られがちです。
だからこそ、キャッシュの動きをリアルタイムで把握し、早めに打ち手を講じることが不可欠です。最近では、クラウド会計ソフトや資金繰り表の自動作成ツールも普及しています。紙と電卓と従来の決算書では見えなかった“未来のお金の姿”が、今は見えるようになってきています。
- まとめ:お金は血液、流れを止めてはいけない
最後に、キャッシュは会社にとっての「血液」です。
利益がいくら出ていても、血が止まれば体は動きません。
だから私は、こう考えています:
「経営とは、キャッシュを絶やさず循環させる技術である」
ロータリーの活動もまた、長く継続するためには、健全な会計と資金の流れが必要です。皆さまの事業も、そしてこのクラブの活動も、キャッシュ・フロー経営の視点で、より安定し、より強くなっていくことを願っております。
そして最後に、次回の会長の時間のお知らせです。週報を見てください。下のほうに次回の会長の時間のお知らせを載せるようにしました。
次回は「祇園祭りに見る伝統と地域のつながり」、京都の祇園と日田祇園の話をやります。乞うご期待を。本日はご清聴ありがとうございました。