会長の時間30
日田ロータリークラブ会長 江藤秀平
本日は戦略計画委員会の小ヶ内委員長からお話ししてもらいます。この戦略計画とは3ヶ年ごとの計画でロータリークラブとして毎年各項目に対して目標数値を決めてそれに向かい努力をしなければなりません。ノルマ的でこういったやり方は仕事以外では私個人としてはあまり好きではありませんし、奉仕活動にも目標数値がいるのかは大いに疑問が残るところです。詳しくは小ヶ内委員長からご報告があります。
さて、今回は少し建設業の人件費などのお話をします。石破茂首相が2月4日の閣僚懇談会で近年の賃金上昇の情勢を踏まえ、公共工事設計労務単価を引き上げるように中野洋昌国土交通省相に指示をしたそうです。2024年度の全国・全職種平均の単価は前年度比5.9%増の23,600円で伸び率は過去10年間で最も高くなりました。元々個人負担に必要な法定福利費相当額や生産性向上のための費用に加え、時間外労働の罰則付き上限規制適用に対応するための費用も反映されて早急に新単価を見直す予定とのこと。やはり建設業の若年層の入職が減少し、建設現場での人手は特に技能、人材で不足感が強く、外国人労働者の受け入れも多くなり資材の高騰も加えると建物の価格がますます高騰していくのは目に見えています。
そうこうしていたら2月19日の建設新聞で国土交通省が3月から適応する公共工事設計労務単価の全国全職種平均単価を前年度比6%増の24,852円としました。ちなみに配管工費は前年度19.6%増の24,400円、電工費は前年度20.1%増の24,500円です。民間工事もまたこの単価の波及に取り組むことを明確化したので近く価格転嫁の円滑化など賃上げの原資を建設業者が確保できる環境を整えるようになると思われます。
ただこれは全国平均単価なので、私が思っているのは各都道府県の労務単価を作るのではなくて、職種で統一した労務単価を作るべきだと前から言っていました。毎年、各県で前年度の工事よりピックアップして労務単価を提出させて平均を決める行為は工事業者にも負担がかかりますし、官庁自体も時間と経費が掛かります。同一労働同一賃金は正社員と被雇用者との賃金格差の是正を言っていますが、仕事についても同じだと思います。大分県の国会議員の先生にもお話をして国交省に働きかけのお願いをしましたが、ダメでした。大分県管工事連合会の会長代理として九州地方整備局の会合にも出て訴えてみましたが、馬耳東風でした。行政側の金額はどのレベルにするのかの問いには、一番高い東京に合わせるべき、アップ率は春闘の経団連比率にすべき、これだけでも各都道府県での調査はいらなくなるし、各都道府県の差は経費の格差のみで補えると思っています。
九地整から霞が関へ提案してくださいとお願いしましたが、毎回担当者が変わり前回の質問回答などできない担当者ばかりで、私がやかましく3年間同じ質問していましたら会合への出禁を食らってしまいました。お役所仕事はこんなもんです。前例を変えたがらない人材が多いです。まず経費は別として労務単価の地域格差を無くさないとこれからの建設業に携わる人材はいなくなると思っています。
また話は変わりますが、こうしたことの関連の話です。40~50代の持ち家率も急低下しているらしく、5年に1回実施される総務省の土地・統計調査では、持ち家率が最新の2023年で40代58%、50代65.5%で30年前に比べて10ポイント低下しているそうです。要因は就職氷河期世代で年収増加率もほかの世代より低く住宅購入の大きな動機でもある結婚や出産の機会が訪れなかった人も多いのが考えられます。そのうえアベノミクスが本格化した2013年頃から住宅価格が高騰。さらに物価高が追い打ちをかけ、統計的に持ち家のない2人以上の世帯に購入の意向を聞いたところ2023年には40~50代は将来にわたり取得する考えはないという人が43%と多くなっている状態です。この状態が続くとどうなるか、将来的には年金では住居費を工面できず、生活に困窮する人が急増しかねない様になり、持ち家はローンを完済すれば、高齢者の住居負担は抑えられるが、賃貸の家賃負担は終わらないので、生活保護に頼らざるを得ない人が一気に膨らむリスクが高くなると思います。
話を戻しますが、建設業で働く外国人が2024年10月時点の調べでは前年度の同じ月と比べ22.7%増の177,902人となり、過去最高を更新し、技能実習生が107,229人となったそうです。国籍別ではベトナムが69,995人、インドネシアが36,615人、ミャンマーが続いて8,758人となっています。私の会社もベトナムの方が1人就業しています。技能実習生ではなくて技能を取得して来たので期間延長が可能です。まだ1年は経ちませんが真面目でしっかりと勤めています。運転免許証を持たないので4月末から5月連休を含めて合宿をして免許取得を目指すそうです。外国人の就労者が増えて、これから日本人の若者が建設業界で働かなくなるとこれからの建設業界の未来が心配です。総務省が発表した2024年度労働力調査によると建設業の就業者数は前年と比べて60,000人減の4,770,000人で2019年から毎年数万人単位で減少しているそうです。建設業の労働人口を確保するためにはどうするべきかを真剣に考えないと建設業の未来はなくなるのではないかと思います。労務費から話がどんどん離れていきましたが。まだ話は続きます。でもこういう話は長くなり終わらないので、また機会を見つけてゆっくりお話ししたいと思います。