卓話

代ゼミサテライン予備校集英館トップゼミ 館長Executive 湯浅 総様

2012年01月25日

代ゼミサテライン予備校集英館トップゼミ 館長Executive 湯浅 総様

 

 

日々厳しさをます経済格差が、子供の教育格差にまでつながっていることをご存知でしょうか。平成21年文部科学省の指導において行われた全国学力テストの調査結果によると、親の年収が1,000万円以上の家庭の子供の全国「平均点」は67点、年収200万円以下の子供の家庭は42点となっています。親の年収で25点もの差がついています。子供の点数は〈事実として〉親の年収に正比例しています(算数B、他全科目同じ傾向)。また学習塾などに通っている家庭と通っていない家庭では大きな差がつき、学習塾に月額5,000円「投資」すると、子供の成績は10点アップするというデータが文部科学省より出ています。

大卒男子の平均年収は517万、高卒男子の平均年収は350万(厚労省調べ)であり、この学歴差は年金まで含めて一生続きますが、この差は子供の努力や能力の差ではなく、親の経済力で決まってしまう側面が大きいことが、今回の調査でわかりました。国はこの問題に対し早急に手を打たねばいけません。

さて私たちの住む日田市ですが、全国民間企業の平均年収が402万円なのに対して、日田市内の民間企業の平均年収は306万円です。この100万円の差が教育費の差になり、学習塾への投資が真っ先に削られている状況です。当然この差は将来にわたりまたその子供の年収の差になり、孫の世代、ひ孫の世代まで拡大しながら、世代を超えて循環していく根の深い問題になっています。

この問題に対処するために、日田市で最も古い学習塾として3つの提案があります。一つは親の理解を深めることです。全国で120万人いる1学年の人口に対して、国公立大学の定員は12万人(10人に1人)しかありません。それを理解し0歳のときから、子供の18歳の受験を考えた子育てを町全体で実践していくことです。もう一つは国公立大学を、学部のみでもかまいませんので誘致し、子供の生活費の負担がなくとも国公立大学に通えるようにすることです。身近に大学生がいれば子供達の目線もまた変わってきます。もう一つはせっかく咸宜園があった町ですので、私塾に対する理解を深めていただいて、時間当たりにすると都会に塾の半額以下で行っている私どもの努力を認めていただきたいということです。医療や福祉と同じように、経済格差のある地方都市だからこそ、教育投資に対する補助を充実させることが必要だと思います。

医療費や介護費は社会保障費として、国から7割や9割の負担が出ます。当塾の中3受験生の月謝は16,000円になっていますが、もし1,600円で通うことができるようになれば、市内ほとんどの生徒に通っていただくことができます。このような極端な例ではないにしても、病気を患った人や老人に対する社会保障も当然大事ですが、これからの日本の未来を背負っていく大切な子供達に対して、国全体で教育費がかからない形を作っていくことが必要ではないでしょうか。まず私塾の歴史を持つ日田市だからこそ、日本全体に対してできる提案があるのではないかと私は考えます。