会長の時間41 2019年5月29日(水)
世界中に安全な水を
日田ロータリークラブ会長 膳所和彦
昨年10月に開催しました日田ロータリークラブ創立55周年記念講演会で、川原尚行先生がスーダンに最初に訪れた時の話を覚えているでしょうか? 先生は村の人々に受け入れてもらうために、川からすくった赤茶けた濁った水を一気に飲み干しました。村人にとっては当たり前に使用している飲料水ですが、私達日本人から見るととんでもない光景でした。おそらく日本は世界で最も安全で衛生的な飲料水が供給されている国だと思います。
「湯水のごとく使う」と言う比喩表現があるほど日本は水に関してはとても恵まれています。しかしスーダンのように世界には安心して水が飲めない地域はたくさんあります。国連は水が非常に大切であること、そしてきれいな安全な水を使えることの重要性を再認識してもらうため、3月22日を「世界水の日」と定めました。そしてロータリーも「水と衛生」を重点分野の中として取り上げており、世界中で様々な活動が行われています。
ここで日本のロータリークラブが行っているいくつかの国際活動を紹介します。第2830地区(青森県)のクラブではタイのロータリークラブと協力し、これまでにタイ南部の地域に25の水浄化器設置施設を整備しています。これにより広い地域で安全な飲料水や農業用水を提供できるようになったようです。東京広尾ロータリークラブと東京中央新ロータリークラブはケニアの水環境を改善するため、江戸時代から伝わる「上総(かずさ)掘り」という日本の伝統的な手法で井戸を掘る活動をしています。このプロジェクトは「ケニアナイト」と称され、チャリティーなどで資金を集め、また地区補助金などを活用して、これまでに13本の井戸が完成したそうです。さらに最近では電気水脈探査機も贈呈しています。大阪の大東ロータリークラブはミャンマーのデルタ地帯にこれまでも様々な物資支援を行って来ましたが、今回雨水貯留タンクを送っています。もちろんミャンマーには、わが日田ロータリークラブも支援を行っており、2016年織田会長年度に井戸を造設しました。また横須賀ロータアクトクラブはグアテマラの村に安全な飲み水を提供する支援を行っています。一方日本でも東日本大震災や北海道胆振(いぶり)東部地震の際には、地元ロータリークラブが雨水貯留タンクや井戸ポンプを提供したり、ペットボトルの飲料水を送ったりなど、活発に支援活動が行われました。
水は私達人類が生きる上で極めて重要な資源です。特に安全で衛生的な水が豊富に存在しなければ、安心な日常活動そして健康な生活は送れません。日本の水環境はあまりに整い過ぎており、私達はその有難さをついつい忘れているかもしれません。世界には水で困っている人達とくに子ども達がまだまだたくさんいることを改めて心に留めておいて下さい。