卓話

「日本医師会について」 日田医師会会長    膳所 和彦氏

2018年02月28日

<概要> 1916年に北里柴三郎博士によって設立 1947年に社団法人、2013年に公益社団法人と認定 会員数:約16万7千人     (開業医約8万4千人、勤務医約8万3千人) 現会長:横倉義武先生     福岡県みやま市 医療法人弘恵会ヨコクラ病院     昭和44年久留米大学医学部卒 <活動> 我が国の医療制度を充実させ、国民の健康と医療を守ることが最大の目的である。創設後50年を超えた国民皆保険制度のもとに、日本中どこにおいても平等に良質な医療が受けられるよう努力している。 1.医療政策の確立  医療・保健・福祉の基本的施策に関連する健康保険法や医療法などの改正に備えて、理論構築を行う。 2.生命倫理問題の解決  脳死と臓器移植、医師の説明と患者の同意、末期医療の在り方、医師に求められる社会的責任などの倫理問題に対し、検討を行う。 3.学術活動  生涯教育制度、日本医師会雑誌、医学図書館などの整備。 4.国際協力の推進  横倉日本医師会長は平成29年10月より世界医師会長に就任 医師の働き方改革 2015年12月 電通の新人女性社員が自殺し、過労死であるとの労災認定。電通はブラック企業と非難され、これ以降企業における勤務体系、特に労働時間の見直しが徹底されることとなる。 2016年1月 新潟市民病院に勤務していた女性研修医(37才)が自殺。過労が原因であると労災認定された。女性研修医の月平均の時間外労働時間は約187時間(「過労死ライン」80時間)で、最大251時間にも達していた。 2017年8月 日本医師会では「医師の働き方検討委員会」を立ち上げ、質の高い医療体制維持と医師自身の健康確保を両立する制度を検討。 <医師の勤務時間> 日本:週60〜80時間(平均71時間) 欧州の国々:40〜50時間(平均48時間) もし日本の医師が欧州並みの勤務時間になったら  在院患者130万人のうち42万人の診療ができなくなる  外来患者141万人のうち45万人の診療ができなくなる  1日あたり3.8万人の救急患者に対応できなくなる <応召義務> 「診療に従事する意思は、診療治療の求めがあった場合、正当な事由がなければ、これを拒んではならない。」(医師法第19条第1項)この条項に対する罰則規定はないが、厚生労働省は下記の見解を追記している。 <労働基準法の改正> 平成29年に「労働基準法」が改正することが提案され、医師の場合は5年が経過した後適当な時期において実施状況の見直しを行う。 医師の場合 1.時間外労働規制の対象とするが、医師法に基づく応召義務等の特殊性を踏まえた対応が必要。 2.改正後の施行期日の5年後を目途に規制を適用。 3.2年後を目途に規制の具体的な在り方、労働時間短縮 4.医師の健康確保と質の高い医療提供体制確保との両立が大前提。 <医師の働き方改革の実践> 1.「医療勤務環境改善支援センター」 政府予算の拡充、勤務医健康支援のためのアクション 2.「地域医療支援センター」 地域における医師偏在を調整 3.「医師の働き方改革に関する検討会」 医師の時間外労働の上限規制、医師の勤務実態の把握