「九州北部豪雨による被害状況の比較」日田警察署 松家署長
宮崎出身で、日田に来て2年、来年退職になる。日田警察署長として勤務し、日々出来事があり、気の抜けない毎日です。 警察では実績を上げるのが第一で勤務に努めた。 中でも、九州北部豪雨では、事前に100名全員を集合させてボートその他の道具も前もって揃えて待機したが、想定以上の濁流に、ボートを出すことも、被災地に近づくこともできない場面もあった。一時署員が濁流に孤立する場面もあり、救助は困難を極めた。 平成24年の北部豪雨の災害と今年の豪雨の災害を比較すると、死者が増え、全壊戸数も52棟と2倍近くなった。人工林の地盤のもろさが原因で土砂崩れが多く発生し、さらに、流れた流木によるせき止めで水害が発生した。今後の災害発生予防のために考えなければならない課題である。 「警察の仕事」 テレビの刑事もので出てくる警察と現実の警察は大分違う。容疑者に予算オーバーのかつ丼なんて出さない。拳銃は持ち歩いているが一度も発砲したことはない。万が一、使用する場合を想定して、射撃訓練をするが、至近距離で撃っても拳銃では命中するのは難しい。要人の警護も重要な仕事で、ミスがあるとクビが飛ぶので緊張して遣っている。 平成29年の北部豪雨 <雨量>………1時間87.5ミリ(観測史上2位) 3時間186ミリ(観測史上最高) 1日370ミリ(観測史上最高) <死者・負傷者> 死者3名 ※夫婦2名が河川に転落、死亡 ※消防団員1名が土砂崩れ現場で活動中に土砂 崩れに巻き込まれ死亡 負傷者4名 ※2名土砂崩れに巻き込まれる 2名は道路で転落 <住宅被害> 全 壊 052棟 半 壊 069棟 一部損壊 21棟 床上浸水 428棟 床下浸水 937棟 <被害の特徴> ・河川の氾濫 H24.7北部豪雨の際に越水、決壊等が生じた箇所の周囲で、当時改良等を施していない箇所、河道が大きく湾曲している箇所、堤防の高さに左右に差が生じている箇所、、堤防が高く、水量が増すと、周囲の家よりも川の水面が高くなる箇所における浸水被害が多く発生した。 ・土砂の崩壊 保水力の弱い人工林(根が浅い、張っていない)の山々から木々が土砂とともに大量に崩落し、田んぼ、道路を覆った。道路が寸断されたことから多くの孤立集落が発生した。 今回の被害の多くが山間部で発生し、道路が寸断され、物資輸送はもとより、停電、固定電話が不通となるなど、日常生活に大きな影響が出た。