世界理解月間 膳所和彦 国際奉仕委員長卓話
国際奉仕委員長卓の膳所会友が、国際ロータリークラブのポリオ撲滅について卓話しました。
<ポリオについて>
ポリオとは「急性灰白髄炎」のことであり、ポリオウイルスの中枢神経感染によって生ずる四肢の弛緩性麻痺を起こす疾患である。小児に多発することから「小児麻痺」とも呼ばれている。ポリオウイルスはエンテロウイルス属に分類され、自然宿主はヒトのみである。ヒトの糞便中に排泄されたウイルスが経口的に体内に侵入し、咽頭や小腸を介して血液中に混入する。血液中を循環したウイルスの一部が脊髄の運動神経ニューロンで感染増殖し、脊髄前角炎を起こす。 ウイルス感染による潜伏期間は4~35日とされている。ほとんど(90%以上)は不顕性感染であり、一部がカゼ症状で発症する。感染者のわずか0.1%で典型的な弛緩性麻痺が現れる。日本では昭和35年に大流行があり、約6,500人が発症した。 ポリオ感染予防のため以前よりワクチンが使用されている。ワクチンには二種類あり、一つは経口投与される生ワクチンである。生ワクチンは安価であり、国際ロータリーの活動においてもこの生ワクチンが使用されている。但し、生ワクチン投与によってポリオ感染を起こす危険性があるため、最近では不活化ワクチン(皮下注射)が使用されている。日本では2012年9月よりこの不活化ワクチンが導入され、同年11月からは四種混合ワクチンとして接種されている(乳幼児期に4回接種が必要)。
<国際ロータリーによるポリオ撲滅への取り組み>
国際ロータリーは、1979年にフィリピンで約600万人の子供に対してポリオ免疫活動を行った。1985年に「ポリオプラス計画」を発表し、1988年にはWHOやユネスコとともに世界ポリオ撲滅推進計画の発足に参加することとなった。2007年には「ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団」が正式にポリオ撲滅運動に参画することになった。 国際ロータリーは、これまでに約12億ドル以上をポリオ撲滅のために寄付しており、その結果、2015年9月にはポリオ常在国はアフガニスタンとパキスタンの2か国のみとなった。
<ポリオ撲滅のための寄付>
60セントのワクチンで一人の子どもをポリオの脅威から守ることができるとされている。国際ロータリーでは1ドルを寄付すると、さらに2ドルがゲイツ財団から追加寄付される。つまり3倍の寄付がポリオ撲滅のために使われることになる。しかしながら、ワクチン代はわずか60セントだが、このワクチンを未開発地域へ運び、接種を実施するには膨大な費用が必要となる。現実にはまだまだ資金不足の状況である。
ロータリーとしてポリオ撲滅のために寄付を行うには以下の3つの方法がある。
•クラブとしての寄付
•個人としての寄付 (ポール・ハリスフェローの対象となる)
•クラブ主催のチャリティーイベントを開催 ポリオを全世界から完全に根絶してしまうには、「もう少し:We are this close」である。我々ロータリーアンはこの悲願のため、今後も積極的に寄付活動に参加しなければならない。