会長の時間19 平成27年11月25日(水)
日田ロータリークラブ会長 織田荘太郎
本日は年次総会です。後程重要な話し合いが行われますので、その前に軽い話でリラックスしてもらおうと思っています。
今日のテーマは『二八そば』という題です。
落語に、夜になって腹が減り、合わせて15文しか持ち合わせのない2人連れが16文のうどんを食べたいのだが1文足りない。そこで悪知恵を働かせて、うどんを食べた後支払いの段になってうどん屋のおやじの手に、「ひい、ふう、みい、よう、・・・八、今何時だい、へい九つです、 十、十一、・・・十六」という咄がありますが、ご存知でしょうか。
江戸時代は長い間、うどんの値段が16文と決まっていました、うどんも蕎麦も値段は一緒で16文です。今日のテーマである『二八そば』の名前の由来には二通りの説があります。1つめは、2x8=16文と値段をしゃれて言う説と、2つめは、小麦を2、そばを8と、つなぎの役目の小麦粉を2割入れるという説です。
『二八うどん』とはあまり耳にしませんので、小麦粉を2割合入れる方が有力かもしれません。私が注目しているのは値段が16文であると言う事の方です。
江戸時代の中期から後期までの、約100年間の長きにわたってうどん、蕎麦は16文と同じ値段です、これは幕府が値段を抑えていたこともあります。その為現在の物価と比較するときには便利です。
蕎麦の値段は、昔が16文で今では500円ということです、そうすると1文=31円、1両=3万1千円と言う事になります。しかし食料の値段は「生活の基礎」であるため、いつの時代も安く抑えられています。私の試算では、米では1両=4万5千円、しかし人件費は1両=24万円ぐらいになります。近頃の人件費は食料に比べてひどく高くなっています。全体の感じとしては、1両=10万円より少し上という所でしょうか。千両箱を盗むと1億円になります、しかし重量は25kgもあります。簡単に担いで屋根伝いに逃げたり出来ません。
いろいろ申しましたが、食料は生活の基であって、値段はいつの時代も低めに安定させられています。ここが私の一番残念に思う所です。
食料品の値段を抑えるということは農産物の値段が抑えられます。農産物の値段が抑えられれば農家の収入が上がりません、農家の収入が上がらなければ農業を継ぐ人がいません。したがって、ますます農村は疲弊し過疎になってしまいます。いわゆる限界集落、消滅集落です。
我々は、自給自足を忘れてはいけません、商業、工業だけで日本は成り立っていると思うのは、おごりです。やはり、バランスの良い社会を考えて行くべきだと思います。