会長の時間3 平成25年7月17日(水)
「至誠」 2013.07.17
日田ロータリークラブ会長 橋本信一郎
先週、ウズベキスタンで日本人捕虜が陰日向なく働いたという事をお話ししましたが、そのあとで、この会場にいらっしゃる当時若者であった先輩たちに「なぜ彼らは真面目に手抜きをせずに働いたのでしょうか」とお伺いしたら「当時は『修身』や『公民』や『教育勅語』があったからな」というご感想でした。
そこで私は第三期(大正7年~昭和8年)の「尋常小学校修身教科書(四年生)」を調べてみました。
目録には「勤労」「信義」「誠実」「博愛」など二十七の項がありましたが、最後の第二十七項「よい日本人」が、今回のエピソードの背景つまり当時の日本人の身の処し方の理由に一番近いのではないかと思いました。
そこには「(略)大きくなっては志を立て、自立自営の道をはかり、忠実に事にあたり、志を堅くし、仕事にはげまねばなりません。けれどもよい日本人になるには至誠をもってよく実行することがたいせつです。至誠から出たものでなければ、よい行のように見えてもそれは生気のない造花のようなものです」と書いてありました。
確かに、陰日向があってはとても至誠とはいえません。海軍兵学校の五省の中の第一番目に「至誠に悖るなかりしか」とあります。
大地震でも無傷だったナヴォイ劇場も、一つ一つの作業を疎かにしない至誠によって出来た建造物だったといえます。
誠意を尽くすというのは、かつて日本人の徳目の中で大きな比重を占めていたようですが、現在でも、日本製品の品質の良さなど、まだまだ誇れるものがあると思えますが、今後も継続して行けるものでしょうか。
日本人は真面目すぎて融通が利かないような点もあり、また、誠意の通じがたいような国もありますが、長い目で見れば、誠意を尽くすことが他国から信頼を得る王道なのかもしれないと思います。