会長の時間28 平成25年2月6日(水)
「ビジネスに効く教養」 2013.2.6
日田ロータリークラブ会長 橋本信一郎
2月5日付の日経新聞に「ビジネスに効く教養 何磨く?」という記事がありました。
何を「社会人として恥ずかしくない教養とするか」は定義しにくいので、ビジネスパーソン1000人にアンケート調査をしたそうです。
その結果、ビジネスパーソン1000人が考える「今学ぶべき教養」ベスト10は次の通りです。
1位 日本史全般 2位 経済学 3位 日本文化の知識 4位 世界史全般
5位 現代文学全般 6位 経営学 7位 英語 8位 スーツ(衣服)
9位 音楽全般 10位 正しい日本語
私が驚いたのは、ベスト3に「日本史全般」と「日本文化の知識」の二つが入ったことです。英語は7位でした。
グローバル化が進む中、コミュニケーションに英語など外国語が必要なことは言うまでもありませんが、単に英語を喋るだけでは世界と対等に付き合えないということが、実際に国際ビジネスに携わった体験から分かって来たのではないでしょうか。
グローバル化が進めば進むほど、自国の歴史や文化を踏まえて自国のことを語れる人でなければ、世界で対等に渡り合えないと思います。
民族と民族が頻繁に交流する世界では、自分が何者であるかの自己証明、アイデンティティとアイデンティティのぶつかり合いがあって初めてお互いが対等の立場に立てるのだろうと思います。
日本人はそういう厳しい環境になかったのは幸いでしたが、これからはサッカーでいう削り合うような自己主張が必要になってきます。
自国の歴史や文化あるいは立場を説明できない、或いは主張できないのでは、他国の人の信頼や尊敬を勝ち得ることはできません。
お茶の水大学の藤原正彦さんが、イギリスの大学にいたとき、あちらの教授にお茶に誘われたそうです。その会話の中で「元寇は文永と弘安で、どう違うのですか?」と普通に聞かれて冷や汗をかいたそうです。「もし答えられなくても何ごともなく過ぎるでしょうが、二度とお茶には誘われないでしょう」と藤原さんは書いていました。
私はそれほど高尚な話ではありませんが、近隣諸国人から、いきなり先方の主張をぶっつけられたことが何度もあります。
しかし、彼らは一方的な歴史教育しか受けたことがありませんから、別の観点から質問をすると全く答えられません。最後には「そうかも知れない」と言われて、こちらが逆に驚くことがあります。
何もこちらから喧嘩を売ることはありませんが、こちらからすれば言いがかりともいえるクレームをつけられたときに対応できるだけの準備はしておくべきだと考えます。
相手の主張に迎合したり、無闇に謝るだけでは、腹の中で軽蔑されるだけです。
今、日本人は自国の歴史を知らない人が多いです。これは国民に責任があるのではなく、自国の歴史などを教えなくした戦後の教育にあります。高校で日本史は必修ではないそうです。
そうした中で、今回のアンケートで、日本史全般、日本文化の知識がベスト3に二つも入ったことはとても歓迎すべきことで、いずれ、日本史は高校でも必修になるだろうと考えます。