会長の時間07
日田ロータリークラブ会長 小ヶ内聡行
奉仕について
皆さま、こんにちは。
本日は「ロータリーの奉仕」について、改めて一緒に考えてみたいと思います。
ロータリーの基本理念は「超我の奉仕」、つまり「自分よりも他者を優先する精神」です。私たちは職業や立場を超えて集い、奉仕を通じて社会に貢献することを目的としています。しかし一口に「奉仕」といっても、その姿はさまざまです。海外での大規模なワクチン支援のような国際的な奉仕もあれば、地域の清掃活動や青少年育成といった、身近で小さな取り組みもあります。
ここで大切にしたいのは、奉仕に「大小はない」ということです。あるロータリアンの言葉に「小さな行為が大きな変化をもたらす」というものがあります。例えば、地域の子どもたちに本を寄贈する活動。これは一見小さな支援に思えますが、その子どもが将来、知識や希望を持って社会に貢献する人材になるかもしれません。その影響は世代を超えて広がっていきます。
また、奉仕は「する側」「される側」という一方通行ではなく、双方向のものだと私は思います。私たちは奉仕活動を通じて相手を助けるだけでなく、自分自身も学びや喜びを得ています。たとえば災害支援に参加したとき、被災地の方から「来てくれてありがとう」と言われることがあります。支援しているつもりが、実は私たちが「人のつながりの大切さ」や「生きる力」を教えていただいているのです。奉仕とは、相手と自分を同時に豊かにする行いだと言えるでしょう。
もう一つ忘れてはならないのが、ロータリーにおける奉仕は「持続性」を重視するということです。一度きりの善意も尊いですが、ロータリーの奉仕は継続してこそ価値が高まります。長年にわたるポリオ根絶活動はその象徴です。1950年代から続く努力によって、かつて数十万人を苦しめたポリオは、いまや地球上でほぼ根絶寸前にまで減少しました。これは単なる一時的な援助ではなく、ロータリーが「奉仕を継続する組織」であるからこそ実現できた成果です。
そして、私たちが活動を続ける上で大切なのは「仲間との協働」です。奉仕は一人でできるものではありません。クラブの仲間と意見を出し合い、力を合わせ、時には地域や行政、他団体とも連携して取り組むことで、大きな成果を生み出すことができます。ロータリーの奉仕は「人と人をつなげる力」を持ち、それこそがクラブ活動の魅力だと感じます。
最後に、私は「奉仕とは特別な人がする特別なことではない」と強調したいと思います。日常の中で、誰かのために席を譲ること、困っている人に声をかけることも立派な奉仕です。ロータリーに集う私たちは、それを意識的に行い、さらに組織として大きな奉仕につなげていく存在です。つまり、私たちの生き方そのものが「奉仕」になっているのです。
これからも、それぞれの立場で無理のない奉仕を続け、地域に、世界に、そして未来に良い影響を与えていければと思います。奉仕を通じて自分自身が成長し、その姿がまた次の奉仕を呼び起こす——その循環こそがロータリーの精神であると、私は信じています。
以上、本日の会長の時間とさせていただきます。ご清聴ありがとうございました。