会長の時間12
認知症、認知症薬について
日田ロータリークラブ会長 北郷太門
この数年、低迷している私の業界(薬品業界)で久々に、明るい話題がありました。
先日、厚労省により、新しいタイプの認知症薬レカネマブが承認されました。
日本で最初の認知症薬アリセプト(ドネペジル)は23年前に、エーザイ株式会社から発売され、一定の効果を評価され、優秀な販売成績を上げてきましたが、発売から10年経ち、価格の安いジェネリック医薬品が発売されて、最近はかなり低迷しています。
このアリセプトは、アセチルコリンと云う神経伝達物質の作用を高めて、認知機能を改善させる薬です。
今回承認されたレカネマブは、脳内のゴミと云われているアミロイドβタンパクを除去することで、脳内神経の劣化を防ぐ効果があります。これにより、7カ月程度、認知症の進行を遅らせるというデータが出ています。
しかし課題もいくつかあります。
レカネマブを服用するにあたり、アミロイドβの蓄積量をPET検査などで、調べる必要があります。この脳内PET検査ができる施設は、全国で50か所程度しかなく、費用が数十万円かかるようです。次に、薬代の問題があります。このレカネマブを1年間服用すると、約400万円の費用がかかります。アメリカでは94万円の自己負担とのことです。今のところ、日本での薬価は未定です。我が国には、高額療養費制度に上限があるので、一般的な高齢者の方で、15万円程度の自己負担となりそうです。
やはり肝心なのは、認知症にならないことです。予防について調べました。
認知症は、生活習慣病と密接につながっているようです。まず喫煙、飲酒を控え、食生活に関心を持ちましょう。
具体的には、動脈硬化を防ぐことです。高血圧、脂質異常症、肥満症、糖尿病にならないよう、気をつけてください。すでに罹っている方は、お薬を飲んで、悪化しないよう注意が必要です。
また普段の生活では、軽い運動を続け、社会活動にも参加して、いろんな人と関りを持つことが良いようです。
(積極的に摂りたい食べ物)
青魚、緑黄色野菜、果実、コーヒー緑茶、オリーブオイル、大豆製品、赤ワイン
(避けたい食べ物)
肉の脂身、マーガリン、ショートニング、トランス脂肪酸 (悪玉コレステロールを増やす)
できるところから取り組んで、認知症を予防しましょう。