会長の時間25
日田ロータリークラブ会長 石松雅彰
先日、昨年春から日田市で避難生活をしてきたウクライナ人のジュリア・デミチェンコさんと息子のキリル君が、ウクライナへ帰国の途に就きました。
デミチェンコさんご家族が過ごした市営住宅には、昨年、日田ロータリークラブがエアコンを設置し、少しでも日本での生活が快適になるよう支援を行いました。
大分合同新聞によりますと、ロシアからの侵攻を受け大分県内で避難生活を送っているウクライナの方々で、帰国するのは初めてとのことです。一緒に避難してきたもうひと家族は、引き続き日田での避難生活を送るとのことです。
今回帰国されるキリル君は、日田市での避難生活期間中、三芳小学校6年2組に在校していました。私は毎朝、孫たちの登校時の見守りを行っていますが、キリル君たち3名のウクライナの子どもたちが、地元の登校班の子どもたちと一緒に元気に登校する姿を毎日見ていました。
帰国に先立ち、2月8日(水)に小学校では全校生で送別会を催しました。私も学校運営協議会会長として案内を受けましたが、あいにくロータリーの例会と重なり出席できませんでした。後で、出席した委員や孫たちから、素敵な送別会だったと聞きました。
三芳小学校の校長は菅原寿明先生とおっしゃって、とてもユニークで、熱い先生です。
運営協議会では校長先生の、子どもたちを中心に置き「誰一人置いていかない」という教育理念とその情熱にいつも圧倒されます。
今回の送別会も、校長のアイデア満載だったようです。
後日、その様子が『学校だより』で報告されましたので、一部を紹介します。
母親のジュリアさんとキリル君が出席した送別会では、この1年間の学校行事や彼の学校生活がスクリーンに映し出され、楽しかったことや頑張ったことなど、思い出溢れる1年を振り返りました。
そしてクラスメイトからの記念品や花束贈呈と合わせ、校長からの感謝状が贈られたとのことです。キリル君は、日ごろは髪を下していましたが、送別会の写真では「ちょんまげ」結びにしていて、お茶目な可愛い一面も見えました。感謝状の内容を少し紹介します。
「感謝状 デミチェンコ・キリル 殿
あなたが、異国の地、日本の九州、大分県日田市で暮らし、ここ三芳小学校で約1年間学んだことに敬意を表します。
私たち日本人は、あなたに、ほんの少しの気持ちとわずかな時間を使うことしかできなかった許すことのできないことが、あなたやあなたの家族やウクライナを襲っている。あなたたちの逆境に負けない姿から、私たちは、真の生きる力、平和の尊さ、未来を信じる力を教わっている。
あなたたちと、そして、ウクライナは、きっと自分たちの未来を取り戻し、その未来は明るく輝いているに違いない。
私は、あなたと出会った日本人の一人として、あなたとの出会いに感謝しています。
私たちは、あなたたちを忘れることは、ありません。
私たち日本人は、自国のことのみならず、世界の平和のために行動します。そして、ゆたかな理想の愛すべきウクライナの勃興を願い、幸せな暮らしが戻る事を信じています。(中略)
ウクライナに平安を あなたとあなたの家族に幸あれ ウクライナとともに
(以下略)」と書かれていました。
感謝状の内容は、小学生には少し難しかったとは思いますが、通じた思いがあると信じています。
送別会終了後にクラスメイト達と撮った記念写真も掲載されていましたが、キリル君もお母様も、とても嬉しそうにしていました。
まだ、三芳小には二人のウクライナの女の子が登校する予定となっています。
キリル君が無事に帰国でき、そして日本に残るもう一家族の方々も、安心して故郷に帰れる日が一日も早く来ることを願っています。そして、それまでは、私も学校関係者の一人として、精一杯の支援をしていきたいと考えています。