会長の時間31 平成25年3月6日(水)
「これからの日露関係について」2013.03.06
日田ロータリークラブ会長 橋本信一郎
先日、テレビのチャンネンルを回していたら、前に講演を聞いたことがある元駐露大使の丹波實さんが、北方領土問題と今後の日露関係について話しておられ、面白かったので最後まで見てしまいました。
北方領土問題については「千島と樺太の交換条約などの歴史的経緯からみれば、ウルップ島以北が千島列島であり、北方4島は北海道と同じく元から日本領土であるから『歴史の正義』を追求すべきであって『引き分け」とかいうおかしな妥協をしてはならない。すれば、世界の笑いものになるし、中国、韓国もじっと見ている。中国は尖閣どころか沖縄も自分のものと言い出すであろう」とおっしゃっていました。
それから、これからの日露関係については「この世に永遠の友好国も敵国も存在しない。存在するのは自国の利益だけ」を前提に次の3点を挙げられました。
1 中ロ関係:
① この20年ほどでシベリアのロシア人は800万人から600万人に減った。中国の東北3省の人口は1億5000万人いる。すでに100万人以上、一説には500万人の中国人がシベリアに入ってきている。ロシアはこのことを脅威に感じている。
② ロシアはもう中国に武器を売っておらず、逆にインド・ベトナム・マレーシア・インドネシアに売っている。
③ 中国との天然ガスの値段交渉が6年間も出来ていない。
2 アメリカのシェール革命:
アメリカは3年ほど前から、地下の岩盤からガス・石油を取り出すことに成功し、
3~4年後には世界最大の石油・天然ガスの輸出国になるだろう。
現在のアジアでの液化ガスの価格が15ドルとするならば、液化コストと輸送コストを
いれても7~8ドル位と今の半額ぐらいになるだろう。
であるから、日本は天然ガスの為にロシアに頭を下げる必要がなくなった。
3 シベリア開発:
中国と組んでシベリア開発をすれば、膨大な中国人労働者が入ってくる。
高い技術と資本を持つ日本と手を組んだ方がロシアにリスクがない。
「今、日本は我慢と忍耐の時である」と丹波さんはおっしゃっていました。
そして最後に「20世紀は人類がソ連とどう向き合うかの歴史であったが、21世紀は中国と人類がどう向き合うかの歴史になるであろう」と指摘されました。
さすがに練達の外交官のお話で、今後の世界の中の日本を占う意味でも重要な内容だと思いましたのでご紹介しました。
5月の連休に、安倍総理がプーチン大統領と会談を行う予定だそうですが、発足以来の安倍政権の動きは世界を見据えた戦略的外交を目指していると思いますので、その重要なファクターの一つである今後の日露関係の進展に関心を持っていきたいと考えます。