卓話

篆刻について 笹倉 順(凌石)会友

2012年01月18日

篆刻について                 笹倉 順(凌石)会友

 

篆刻とは一般的に印鑑とかハンコなどと混同されがちですが、書道の中の一分野であり芸術性を特に重んじるものです。印の歴史は古いのですが、文人達が自書自刻を望み石印材を発見し、芸術として発展したのは明代後半からの事であり比較的新しいものです。当時は書画に使用するものであり、大きくても一寸程度までで、この為、篆刻の事を方寸の世界とも呼びます。書の世界は、モノクロの中に空間をいかに生かすかを探り落款を書き込み、最後のしめに朱の印を押して完成と成ります。小なりと言え非常に重要な役割を負うものです。

 

使用する文字は一番古い文字である篆書を用い、姓名、雅号の外詞句等も刻り、常に書画のお伴をします。故に書画に於ける華麗なる従者とも言えます。印の学問を金石額とも称し、文字の起源を探り、文人達のたしなみとして重要なものです。

 

印、金石額、篆刻を少しでも御理解いただき、今少し芸術に目を向けていただければ幸甚に思います。淡窓、五岳外、多数の文人達を輩出した日田に現代の文人が多く生まれる事を願ってやみません。